なぜ今「伴走型の経営支援」なのか
ヘルスケア領域をはじめ、現場負荷が高い業界では、経営者が「事業の継続」と「サービスの質」の間で板挟みになる場面が少なくありません。原材料費やコストの高騰があっても価格転嫁が難しく、利益が圧迫される。すると人件費も上げにくく、結果として人材流出→少人数体制→サービス品質の低下…という悪循環が起きやすい。
今回お話を伺ったのは、獣医師・製薬マーケターとして現場とビジネス双方の経験を重ね、「利益に真摯に向き合い、結果を出す」ことを信念とする Aurea Partners 代表・山田宗一郎。数字にこだわりながらも“押し付けない”支援をどう両立しているのか。代表者インタビューとして、等身大の言葉で語っていただきました。
まずは、これまでのキャリアの流れを教えてください

その後、以前から経営やビジネスに興味があり、「動物病院以外の事業にも携わってみたい」と考え、2015年に動物用医薬品メーカーへ転職しました。最初は学術担当として4年ほど勤務し、その後はマーケターとして循環器・糖尿病・慢性腎臓病などの治療薬を担当しました。新製品の立ち上げを成功させることができ、非常にやりがいを感じた時期です。マーケティング業務に強い適性と充足感もありました。
さらにキャリアアップして、より規模の大きいビジネスに携わりたいと思い、2021年に人用の製薬会社へ転職しました。オンコロジー領域で血液腫瘍のブランドリードを担い、その後、自分の希望で将来のポートフォリオ戦略を作成する部門に異動し、新規薬剤の市場性評価の責任者も経験しました。
並行して、2020年から中小企業診断士として副業支援も始めています。異なる業態・ビジネスモデルに触れ、経営改善に向けて戦略を練る楽しさを感じるようになりました。医薬品業界はプロモーション規制が多く、身につけた施策を十全に使えない側面もあるので、「自分で会社を立ち上げて、より自由度高く価値を出したい」と思うようになり、2026年1月に創業しました。
「独立して支援側に回ろう」と決めた転機は何でしたか?
すると「もっと多くのビジネスや企業を支援したい」という気持ちが強くなっていったんです。副業として支援する中で、少しずつ顧客の信頼も得られるようになり、「今なら一歩踏み出せる」と一年発起して独立を決めました。
だからこそ「もっと多くの企業でその力を使いたい」と自然につながったのが伝わります。
今の仕事で一番大事にしていることは何ですか?

特にヘルスケア業界では、経営者が「経営」と「医療・福祉」という2つの側面に板挟みになるケースが少なくありません。コスト高騰があっても価格転嫁が難しく、利益が逼迫した状態で何とか運営している企業や医療施設も多い。そうなると人件費も十分に上げられず、人材流出→少人数体制→提供サービスの質の低下…という悪循環に陥ってしまうこともあります。
もちろん患者さん(利用者さん)の利益追求は大事です。ただ、提供サービスに見合う報酬を得て、貢献してくれているスタッフへの賃上げを行い、企業成長につながる好循環を回すこと──つまり事業継続性を確保することが、結果的にお客様にとってもトータルでメリットが大きくなると考えています。
だからこそ当社では、クライアントの利益(経営改善・利益確保)につながることを“至上命題”として捉えています。
ヘルスケア領域は特に“使命”が強い分、経営の話が後回しになりがちですが、山田さんはそこを真正面から扱う、と。
「利益にこだわる」と聞くと、冷たく感じる人もいます。その点はどう考えていますか?
特にヘルスケア領域は、社会的使命が強い分、経営の話が後回しになりやすい。でも、継続できなければ、患者さんや利用者さんへの提供価値も続けられません。だから「利益に向き合うこと=継続性に向き合うこと」として捉えています。
“継続できなければ価値も続かない”という一言に、現場を見てきた方ならではの実感が詰まっている気がします。
逆に「やらないこと」「やりたくないこと」はありますか?
印象に残っている話があります。ある医療機関の経営者から聞いたのですが、電話や訪問営業でM&Aなどを持ち掛ける会社が頻繁に来て、「今売ると得ですよ」「○○万円で売却できる」などと言われて、とても迷惑だと。人生をかけて育ててきた事業を十分に理解もせずに“売る提案”をされることに腹が立った、という話で、私も強く共感しました。
実際、支援の現場でも、経営者が本当に望んでいない(金融機関などに言われて渋々サポートを受ける)場合は、なかなかうまくいかないことが多い。だからこそ、コンサルティングを開始するまでに、十分な信頼関係の構築を重視しています。
当社ではプッシュ型の営業は行っていません。支援が必要だと感じた方に、セミナーや記事、HP、紹介などを通じて当事務所を知っていただき、まず相談から始めて、納得の上で支援を開始する──その形を大切にしています。
支援を始める前に「必ず確認すること」は何ですか?
1つめは、経営者の理念・信念・矜持を確認すること。
まず、経営者の理念・信念・矜持・座右の銘、会社の目指すべき姿、将来の夢を伺います。「理念など大層なものはない」とおっしゃる方も多いのですが、必ず大切にしている価値観や思いがあると感じています。
その価値観を最大限戦略に取り入れることで、経営者自身が作った「自社の戦略」になります。結果として社長自身が旗振り役となって事業を進められ、経営改善にもつながる。ここは徹底している部分です。
2つめは、三現主義にもとづく経営分析(現場・現物・現実)です。
経営者が認識している課題と、現場が感じている問題・課題が乖離しているケースがあるため、可能な範囲で事業所の視察、運営体制の確認、従業員へのインタビューをさせていただけるよう了承をいただいています。
そのため、経営分析には十分な時間を頂けるようお願いしています。現場の実態を踏まえない改善計画は、どうしても机上の空論になってしまうので。
提案や計画づくりで必ず入れる観点は?
だからこそ、どこまでなら実行・継続できるのかをしっかりすり合わせます。必要に応じて伴走型支援を行い、遂行できるように管理し、現場に根付かせるところまで一緒に進めます。
「この状態だと一度立ち止まる」サインはありますか?
もちろん、経営者が従業員に向けて、経営状況や今後の方針、取り組む内容と意義を説明できるように、徹底的にサポートします。ですが、コンサルはあくまで縁の下の力持ち。最終的にはコンサルがいなくても、社長自身で事業を推進し、経営改善・改革を進められる状態をゴールとして目指します。
山田さんにとっての「成果」とは、どんな状態ですか?
一方で、経営分析は必ず実施し、ほかにクリティカルな要因がないか確認します。真因が別に認められる場合は、その点を説明し、ご納得いただいたうえで取り組みます。
指標としては、原則的にEBITDAなど「本業で稼ぐ力」と、その構成要素を重視してチェックします。ここが整ってくると、賃上げ余力や投資余力が生まれ、好循環に入っていきます。
どれくらいの期間で、どんな変化を目指しますか?
3か月:経営分析と経営改善計画の立案、導入支援まで(伴走支援は必要に応じて)
6〜12か月:実行の習慣化・定着まで伴走し、数字が安定して積み上がる状態を目指す
売上・収益は3か月目に改善傾向が見え、4か月以降も徐々に改善し、6か月・12か月などの期間で安定して増加していくケースが多いと感じています。業務効率化はより早期に効果が見えることが多く、3か月目に効果が出ることもあります。ただ、習慣化できないと効果が薄れていくので、伴走支援では仕組みや制度として定着するよう支援します。
見える化・伴走のやり方を教えてください
- 月次定例:KPI進捗の確認/意思決定(続ける・やめる・変える)
- 必要に応じて週次:現場オペレーションや施策の詰まりを解消(戦術面)
- レポート:現状→論点→次の打ち手→担当→期限を“1枚で分かる形”で共有
ポイントは、理論の正しさより「実行・継続できる現実性」です。現場負荷と体制を踏まえ、実行できる粒度まで落とし込み、続けられる状態を一緒につくります。
Aurea Partnersとして、どんな支援に取り組んでいますか?
- 経営分析・経営改善計画の策定(現状の見える化、優先順位づけ)
- 伴走型の実行支援(KPI・PDCA、定例運用の設計と定着)
- 業務効率化・仕組み化支援(属人化の解消、運用の定着)
- 補助金申請支援(投資計画の整理、計画書作成支援など)
- セミナー登壇・記事執筆(経営・制度の情報発信)
業種としては「特定の領域に限定している」というより、医療分野(動物病院・歯科・ヘルスケア)にバックボーンがある一方で、さまざまな業種のビジネスモデルに触れてきた経験を活かし、複数業界のノウハウをうまく導入することも強みだと思っています。実際、IT企業からのご依頼も多いですし、今後は製造業や飲食業なども積極的に支援していきたいと考えています。
「パートナー(伴走者)」とは、日々の支援でどういうことですか?
その繰り返しで、最終的には社長が自走できる状態をつくる──それが、私の考える伴走者です。
相談から支援開始までの流れを教えてください
- お問い合わせ・初回相談:現状の悩み、背景、目指したい姿を整理
- 方針のすり合わせ:理念・価値観、優先順位、関係者の巻き込み方を確認
- 現状把握(経営分析):三現主義にもとづき、数字と現場を見て課題を可視化
- ご提案〜支援開始:実行可能性を重視し、現場が回る形に落とし込んでスタート
「相談したら必ず契約」ということではなく、まずは納得感を持って進められるかを大切にしています。
インタビュアー:「まず相談」→「納得してから開始」という流れが明確だと、相談の心理的ハードルが下がりますね。
“押し付けない”が、入口の設計にも表れているのが伝わります。
よくある質問
経営者へのメッセージ:最初の一歩としておすすめは?
ただ実態としては、経営状況が良いほど、補助金は採択されやすい面がありますし、経営も打ち手(選択肢)が多く取れるため、より効果の大きい手法を選べます。
そのため、経営相談を「困ったときの相談相手」ではなく、「転ばぬ先の杖」として早めに使っていただくと、もっとお役立ていただけると思っています。今が最も早いタイミングなので、ぜひ躊躇せずに、相談から始めてほしいですね。

社名「Aurea Partners」に込めた意味を教えてください
経営者にとって、信頼のおける“気高い伴走者”を目指す──その意味を込めてこの社名にしました。

中小企業診断士 獣医師