新事業進出・ものづくり補助金グローバル枠の概要と申請方法

新事業進出・ものづくり補助金グローバル枠のアキャッチ画像

海外販路の開拓を検討しながら、設備投資や現地調査にかかるコストを理由に踏み出せていない中小企業は少なくありません。2026年度から新たに開始された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」のグローバル枠は、そうした企業の国際展開を後押しする制度です。

補助率は一律2/3、賃上げ特例を活用すれば最大9,000万円の大規模な支援で、国内製造・サービス体制の強化と海外市場の開拓を同時に支援します。本補助金の第1回公募要領は2026年6月29日に公開され、オンラインの電子申請システムによる申請受付は2026年9月30日から開始となり、応募締切は2026年10月30日の18時(時間厳守)となっています。

本記事では、グローバル枠の制度概要から対象事業の定義、補助金額・対象経費の詳細、申請フロー、採択を勝ち取るための事業計画書の書き方まで、公募要領(第1.2版)に基づいて解説します。

● この記事からわかること

  1. 1 グローバル枠の対象となる海外販路開拓、国内輸出体制強化の要件と、対象外になりやすい事業
  2. 2 補助率2/3、従業員数別の補助上限額、海外旅費・通訳翻訳費を含む対象経費の内容
  3. 3 GビズID、一般事業主行動計画、相見積、事業計画、口頭審査など申請前から採択後までの流れ

制度の目的と3つの申請枠


新事業進出・ものづくり補助金グローバル枠の概要と申請方法

画像をクリックすると拡大表示されます

2026年度に新たに設計された新事業進出・ものづくり補助金は、中小企業の国際競争力強化を国の重点施策として位置づけ直した制度です。制度の目的と3つの申請枠の全体像を押さえることで、グローバル枠の位置づけが明確になります。

制度の目的

本制度が目指すのは、設備更新の支援にとどまりません。中小企業が企業規模の拡大や付加価値の向上を通じた生産性向上を実現し、それを原資として賃上げへとつなげる一連のサイクルを完成させることが目的です。現状維持ではなく、リスクを取った新事業進出やグローバル市場での競争力強化に向けた構造改革を、国が補助金という形で後押しする設計になっています。

3つの申請枠の全体像

新事業進出・ものづくり補助金は、以下の3つの申請枠で構成されます。

申請枠 対象事業 補助率
革新的新製品・サービス枠 技術的革新性のある新製品・サービスの開発 1/2
小規模・再生事業者、通常の中小企業者でも地域別最低賃金引上げ特例を行った場合は2/3
新事業進出枠 既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出 原則1/2
小規模・再生事業者を含め、地域別最低賃金引上げ特例を使う場合は2/3
グローバル枠 海外市場開拓(輸出)に向けた国内輸出体制の強化 2/3

※スマートフォンでは表を横にスライドしてご覧いただけます。

グローバル枠の補助率は、申請者の規模や特例措置の適用有無に関わらず一律2/3です。他の2枠は原則1/2で、小規模事業者や再生事業者、賃上げ特例などの条件を満たした場合に2/3へ引き上げられる仕組みであり、特例の適用有無を問わず高い補助率で取り組める点がグローバル枠の特徴です。

グローバル枠の対象事業 輸出向け国内体制強化に一本化

グローバル枠が対象とする事業の定義を把握し、自社が該当するかを確認しましょう。

対象となる事業の定義

グローバル枠が求めているのは、輸出だけではありません。国内製造等拠点の強化を伴う海外販路開拓こそが、国内投資と海外展開の連動性を示す根本的な要件です。公募要領に基づき、採択の対象可否を分ける3つの要件を整理します。

  • 自発的な取り組み
  • 新たな海外市場への進出
  • 国内製造等拠点の強化

海外販路開拓を行う事業では、自社の製品・サービスを活用し、主体的に海外市場へ進出する計画が求められます。取引先からの要請に応じるだけの取り組みは原則対象外であり、経営層には現地のリスクや法規制、商習慣を自ら説明できる程度の理解が必要です。

また、新市場とは、既存事業でこれまで進出していなかった国・地域を指します。すでに取引実績のある国への単純な輸出量の拡大は、原則として対象になりません。

さらに、海外販路開拓に向けて、国内の工場・店舗・サービス提供環境などを強化する設備投資も必要です。海外工場の建設や現地法人への出資といった海外への直接投資は対象外ですが、国内拠点であれば製造業に限らず、商業・サービス業も対象となります。

対象外となる事業

以下の事業は補助対象外です。

  • 補助事業の主たる内容を他者へ外注する事業(主体性の欠如)
  • グループ会社が既に実施している事業の焼き直し
  • 既存製品の単純な増産やメニュー追加
  • 商圏が異なるだけで内容に新規性のない計画
  • 取引先主導の受動的な輸出対応

審査員は、この事業が本当に新たな海外市場の開拓につながるかを厳しく評価します。新たな国への輸出を開始するにあたり、国内製造能力を高めるための設備を導入する、という論理的な一本線を事業計画書で描けるかどうかが、採択の分かれ目です。

新事業進出・ものづくり補助金の対象事業者の要件

補助金を申請できる事業者の条件を正確に理解することが、採択に向けた準備には必要です。

業種別の中小企業定義

補助対象は国内に本社・事業実施場所を有する中小企業者等で、業種別の資本金・従業員数基準は以下のとおりです。

業種 資本金(または出資総額) 常勤従業員数
製造業・建設業・運輸業 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業
ソフトウェア・情報処理・旅館業を除く
5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

※スマートフォンでは表を横にスライドしてご覧いただけます。

申請できない事業者

次に該当する事業者は除外されます。

  • 従業員0名の事業者
  • 過去3年間の課税所得の年平均が15億円を超える高所得事業者
  • 過去の補助金で報告未提出や返還未済がある事業者
  • 一時的な減資による、みなし中小企業化を図った事業者

特に過去の補助金不履行者は厳格に排除され、他の補助金で事後報告を怠った前歴があると申請自体ができなくなります。

グローバル枠独自の補助金額と補助率

補助額と補助率の仕組みを正確に理解することで、自社への適用額を試算できます。

従業員数別の補助上限額

グローバル枠の補助率は一律2/3で、補助上限は従業員数と賃上げ特例の適用有無によって決まります。

グローバル枠独自の補助金額と補助率

画像をクリックすると拡大表示されます

補助金の下限額は750万円です。小規模な設備投資ではなく、本格的な海外進出に向けた事業計画を持つ企業向けの制度です。

賃上げ特例(大幅な賃上げ要件)を満たすと補助上限が増額されます。具体的な要件は、「1当たり給与支給総額」の年平均成長率が6.0%以上、かつ事業場内最低賃金を地域別最低賃金より50円以上高い水準にすることです。

賃上げ計画が実現可能かどうかを事業計画書に織り込んでおくことが、補助上限を最大限に引き上げるポイントになります。

補助対象経費|グローバル枠の強みと条件

補助の対象となる経費と対象外の経費を事前に確認し、無駄のない計画を立てましょう。

必須経費の厳格ルール

公募要領第1.2版に規定されている通り、グローバル枠(および新事業進出枠)の申請にあたっては、機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが必ず補助対象経費に含まれていなければなりません。広告宣伝費や海外旅費、通訳費等だけの計画は審査対象外となるため、この基本要件を満たす必要があります。

グローバル枠独自の対象経費

他の2枠では認められない、グローバル枠特有の対象経費があります。

海外旅費・現地調査や海外展示会への参加、販路開拓のための海外出張費が対象となります。補助上限額は税抜の補助対象経費総額の5分の1以内で、一度の渡航で計上できるのは事業者最大3名まで(専門家や通訳者が同行する場合は最大5名まで)、1人当たり最大50万円(交付される補助金ベースの金額)を上限とします。

通訳・翻訳費 海外展示会での通訳費、カタログや製品説明書の多言語化費用などが対象で、独立して一律30万円(税抜)が上限です。なお、契約書類そのものの翻訳費用は補助対象外です。

対象経費の全体像

経費区分 主な内容 グローバル枠独自の取扱い
機械装置・システム構築費 国内製造設備、ITシステム 必須計上
建物費 製造ラインの建設・改修 必須計上
広告宣伝・販売促進費 海外展示会出展費、多言語カタログ 対象
外注費・専門家経費 設計・加工の外注、コンサル費 対象
海外旅費 現地調査・出張費 グローバル枠のみ
総経費の1/5以内
通訳・翻訳費 現地通訳・資料翻訳 グローバル枠のみ
一律30万円上限
技術導入費 特許実施権・技術使用料 対象

※スマートフォンでは表を横にスライドしてご覧いただけます。

対象外となる経費も押さえておく必要があります。PC、事務用プリンタなどの汎用品や既存設備の単純な置き換え、従業員給与といった人件費、借入金の利子は一切認められません。また、すべての支払いは銀行振込が原則です。

契約先1件当たりの見積額合計が税抜50万円以上の場合、原則として3者以上の同一条件による相見積もりが必要です。中古設備の場合も同様に、古物商の許可を得ている中古品流通事業者3者以上から、型式や年式が記載された相見積を取得している場合のみ対象となります。

1社の見積書だけで手続きを進めると、価格の妥当性が証明できず対象経費から除外されるため注意しましょう。

3大要件と返還ルール 「成果達成責任」を伴う基本要件

新事業進出・ものづくり補助金では、3から5年の事業計画において付加価値額・賃上げ・最低賃金に関する要件が共通して設けられており、目標に対する達成責任を伴う設計となっています。特に賃上げや最低賃金の要件は、計画期間中に目標を達成できなかった場合、未達成率などに応じた補助金の返還が求められます。

3大要件の目標値とペナルティ

採択されるためには、目標値が必要です。しかし、目標が高すぎて未達になればペナルティを受けます。

付加価値額要件

補助事業終了後の事業計画期間(3〜5年)において、付加価値額(営業利益、人件費、減価償却費の合計額)を年平均成長率4.0%以上増加させる計画を策定する必要があります

賃上げ要件(1人当たり給与支給総額の引き上げ)

会社全体の給与総額ではなく、1人当たりの給与支給総額を年平均3.5%以上増加させる計画・達成が求められます。1人当たり給与支給総額は、役員報酬や退職金、福利厚生費、および法定福利費を除いた給与を、全月分の給与支給を受けた常勤・非常勤等の従業員数で割って算定します。未達成の場合は未達成率に応じた金額の返還が求められ、実績の年平均成長率がゼロまたはマイナスの場合は全額返還です。ただし、付加価値額の実績自体が基準年度から増加しておらず、かつ計画期間の過半数で営業利益が赤字である場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記のペナルティ返還が免除される仕組みも設けられています。

事業場内最低賃金要件

補助事業実施場所となる都道府県の地域別最低賃金より30円以上高い水準に引き上げ、事業計画期間中それを毎年クリアし続けることが目標です。毎年の状況報告時に満たしていなかった場合は、補助金額を計画年数で割った年割相当のペナルティ返還が課せられます。

なお、大幅な賃上げ特例(補助上限増額分)を活用した場合、特例目標(1人当たり給与支給総額の年平均成長率6.0%以上、かつ事業場内最低賃金50円以上の引き上げ)をいずれか一方でも達成できなければ、上乗せされた部分の補助金交付額を返還する必要があるため、活用は慎重に検討することが重要です。

申請スケジュールと事前準備

申請スケジュールと事前準備

画像をクリックすると拡大表示されます

申請スケジュールは締切が厳格なため、逆算して準備を進めることが重要です。

第1回公募スケジュール

2026年度第1回公募の主要日程は以下のとおりです。

  • 公募開始(公募要領公開):2026年6月29日(月)
  • 申請受付開始:2026年9月30日(水)
  • 応募締切:2026年10月30日(金)18時
  • 採択発表:2027年1月頃(想定)
  • 補助事業実施期間:交付決定日から14か月以内(採択発表から16か月以内)
  • 事後報告:採択後5年間で計6回の事業化状況報告が義務

採択はゴールではなく、14か月の実施期間と5年間の事後報告を伴う長期プロジェクトの始まりであり、報告の管理体制も申請前から検討しておく必要があります。

申請前に準備すべき4つのポイント

申請前に準備しておきたい4つのポイントを紹介します。

①GビズIDプライムアカウントの取得

電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必須です。公募要領では発行に2週間程度を要すると案内されていますが、申請方法や事務局の混雑状況によって所要日数は変動するため、余裕を持って手続きを開始してください。

②一般事業主行動計画の策定・公表

本補助金の申請においては、この計画が策定・公表されていることが必須要件となります。策定には準備期間が必要なため、早めに確認・作成を進めましょう。

③子育て等に関する職場環境整備

申請には、一般事業主行動計画とは別に、子育て等に関する職場環境整備の取り組みを実施することが必須です。ライフデザイン支援、家事代行・ベビーシッター等の利用支援、既存の子育て支援制度の周知など、所定の取り組みから対応します。

④3者以上の相見積もりの取得

契約先1件当たりの見積額の合計が税抜50万円以上になる場合、あるいは中古設備を導入する場合には、3者以上からの相見積が必要です。取引先1社からの見積書だけでは申請書類として不十分となるため、早めに複数業者へ連絡しておくことが重要です。

⑤金融機関による確認書(資金調達がある場合)

自己資金だけでなく、融資や出資で資金を調達する場合は、金融機関が発行する確認書が必要となります。メインバンクへの相談も早期に開始することが求められます。

採択を勝ち取るための事業計画書の書き方

本補助金では「一般事業主行動計画」の策定・公表は必須要件です。

審査で評価されるのは「投資価値」

審査員が評価するのは、この事業にどれほどの投資価値があるかという点です。本補助金では書面審査に加えて必要に応じて口頭審査も実施され、後述のとおり経営者自身が事業の論理を説明できるかどうかが採否を分けます。

 

採択される事業計画書は、国内事業の現在地と成長限界など現状の課題から国内拠点の強化策へ、そしてどの国に、何を、どう売るかといった海外市場への展開計画へとつながるかどうかが共通しています。海外展開したいので設備を買いたい、といった単純な羅列では採択されません。

加点項目の活用

グローバル枠

画像をクリックすると拡大表示されます

書面審査で評価を上乗せできる加点措置は、公募要領第1.2版にて全17種類が定義されています。いずれの加点項目も応募締切日の時点で条件を満たしていることが前提となるため、最新の要領で必ず確認してください。第1回公募でグローバル枠の申請者が特に活用しやすい主な加点項目を紹介します。

輸出促進加点

新規輸出1万者支援プログラムへの登録が加点対象です。JETROが運営するプログラムへの登録は無料で、登録後の申請書類への「登録証の添付」は不要です。グローバル枠を申請する企業はほぼ全員が取得できる加点のため、確実に押さえておく必要があります。

DX認定加点

経済産業省のDX認定を取得していると加点対象です。認定を受けていない企業は申請前の取得も積極的に検討してください。

パートナーシップ構築宣言加点

取引先企業との公正な取引に関する宣言を公表することで加点対象です。ただし、「令和8年1月1日に改訂された最新のひな形」を用いて宣言・公表されていることが絶対条件となります。過去に古いひな形で宣言を行っていた企業であっても、申請締切日までに最新版へ更新して再公表を完了させておかなければ加点されません。

賃上げ加点

書面審査における賃上げ関連の加点として、「地域別最低賃金引上げに係る加点」 および「事業場内最低賃金引上げに係る加点」の2種類が用意されています。大幅な賃上げ特例は「補助上限額を上乗せする特例」であり、審査時の加点項目とは異なります。

くるみん・プラチナくるみん・トライくるみん認定加点

次世代法に基づく仕事と子育ての両立支援に関する認定(トライくるみん、くるみん、プラチナくるみんのいずれか)を申請締切日までに受けていると加点対象となります。

口頭審査対策の3原則

グローバル枠の口頭審査は、必要に応じてオンラインで15分程度実施されます。審査に対応できるのは、「法人代表者(社外取締役を除く取締役含む)」、「個人事業主本人」、または応募時の労働者名簿に記載のある「担当者」「経理担当者」に厳格に制限されており、当日は顔写真付き身分証明書による本人確認と、周辺環境のカメラ確認が行われます。コンサルタントや外部支援者の同席、代わりの対応が確認された場合は、その時点で不採択となります。

原則①|自分の言葉で語る

審査員は口頭審査で、経営者が主体的にこの事業を推進できるかを見ます。準備した文章をそのまま暗記するのではなく、自社の言葉で現地市場の魅力とリスクを語れるよう準備することが重要です。

原則②|数字の根拠を持つ

市場規模や自社製品の強み、売上計画の根拠を問われた際に、感覚的な回答ではなく客観的なデータに基づいて答えられるよう、JETROやRESASなどの公的データを事前に収集しておくことが不可欠です。

原則③|「足元の賃上げ」の要件をクリアする

口頭審査では、補助金をもらう前の段階から先行して実施する「足元の賃上げ」の実績・計画が評価対象となります。具体的には、「応募申請時の直近事業年度から基準年度までの1人当たり給与支給総額の年平均成長率が、物価上昇率を上回る程度」の賃上げが必要です。

この基準をクリアしていない場合、または回答が曖昧な場合は審査上大幅に不利となるため、自社の給与体系と年平均成長率のシミュレーション数値をもとに整備しましょう

申請後から入金までの全体フロー

採択後から補助金受取までの流れを事前に把握し、円滑な事業実施につなげましょう。

採択決定後の実務的な流れ

採択発表は2027年1月頃を予定しています。採択後は、まず採択事業者向けのオンライン説明会に参加し、その後、採択発表日から原則として「2か月以内」に交付申請手続きを完了させる必要があります。

交付決定通知を受け取ってから補助事業を開始し、交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から最大16か月以内)に、発注・納品・支払いなどすべての補助事業を完了させなければなりません。

事業完了後は、実績報告書を提出します。審査を経て補助金額確定後、補助金を請求し、入金を受ける流れです。さらに、補助事業が完了した日の属する年度の終了後を初回とし、その後5年間にわたって計6回の事後報告を行う義務があります。

オンライン説明会は必ず参加する

採択事業者向けのオンライン説明会への参加は必須です。参加しなかった場合、説明会の最終開催日をもって採択が自動的に無効となります。採択後は案内を確認し、必ず参加できる日程を確保しましょう。

発注・契約は交付決定後に行う

特に注意したいのが、経費の発注や契約、購入のタイミングです。補助対象となる設備やサービスは、交付決定通知を受ける前に発注・契約・購入してはいけません。

採択通知を受けた段階でも、まだ発注は不可能です。交付決定前にフライングで手続きを進めてしまうと、どれだけやむを得ない理由があっても当該経費は一律で「補助対象外」となります。発注先との事前調整を進める際も、契約日・発注日が必ず「交付決定通知日」以降となるよう、スケジュール調整が必要です。

資金は一時的に自社で負担する

補助金は、原則として事業完了後に検査を経て支払われる後払い方式です。そのため、設備費や外注費などは、いったん自己資金、または金融機関からの融資で支払う必要があります。

申請前の段階から、補助金が実際に入金されるまでの間の支払いに対応できるよう、つなぎ資金の融資相談など、十分な資金繰り計画を立てておきましょう。

設備の売却・転用にも制限がある

取得価格が税抜単価50万円以上の機械装置・システムや建物(改修等)などの取得財産は、「処分制限財産」として扱われます。法定耐用年数が経過するまでは、原則として既存事業への転用、売却、譲渡、廃棄などが制限されます。

やむを得ず設備や財産を処分・転用する場合は、必ず事前に事務局の承認を得なければなりません。無断での処分や既存事業への兼用が発覚した場合、残存簿価相当額等の返還が課せられるペナルティリスクがあります。

グローバル枠を活用しやすい業種・事業類型

グローバル枠を活用しやすい業種と事業の特徴を、具体的な事例とともに解説します。

製造業|海外向け製品ラインの専用設備導入

例えば、金属部品メーカーが欧州の自動車メーカーへの直接輸出を目指すケースを考えてみましょう。これまで国内完成車メーカー向けのみだった企業が、現地進出に必要なIATF16949などの品質規格を取得し、海外OEM向けの専用加工ラインを新設するような場合が、グローバル枠の典型的な活用事例です。

国内製造拠点の強化として「機械装置費」が必須経費に該当するほか、国際規格認証の取得費用、その手続き・現地監査に伴う海外旅費も対象として認められます

IT・ソフトウェア業|SaaS製品の海外展開

国内向けにSaaS製品を提供している企業が、多言語対応UIの構築やGDPR等海外セキュリティ規制への対応のためのサーバー・システム改修を行い、海外市場へ本格展開するケースです。システム構築費が必須経費として認められるため、開発・改修費の大部分を補助対象とすることができます。

また、海外市場開拓を目的とした多言語カタログや多言語製品取扱説明書の翻訳費、および海外展示会・商談での通訳費もグローバル枠独自の対象経費として計上可能です 。

食品・農業関連|日本産食品の輸出体制整備

地方の食品加工メーカーが、海外の日本食需要を取り込むために、進出先国の厳しい衛生管理基準に対応した製造・梱包ラインを国内工場に新設するケースです。国内拠点の生産・加工体制を強化するための建物費(工場改修)や機械装置費が主軸となり、現地バイヤーとの商談・テスト販売のための渡航費や現地通訳費も対象となります。

3業種に共通するポイント

どの業種や事業類型においても、設備を新しくするだけでなく、国内拠点での体制強化とそれによって実現する海外市場への具体的なアプローチとの間の連動性を事業計画書でロジカルに説明できるかどうかが重要です。ターゲットとなる進出先市場、想定顧客、具体的な販売ルートを申請前の段階で可能な限り特定し、それを裏付ける客観的なデータを織り込むことが、説得力ある計画書の前提条件です。

よくある疑問Q&A

申請を検討している事業者から寄せられる疑問をまとめました。自社の状況に照らし合わせながら確認してください。

Q1.取引先から「うちに製品を輸出してほしい」と言われた場合も対象になりますか?

A 対象外となる可能性が高いです。グローバル枠は事業者の自発的な取り組みが要件であり、取引先主導の受動的な輸出対応は対象外と判断されます。自社で現地市場を調査し、販路を主体的に開拓する計画でなければグローバル枠には適合しません。

Q2.創業1年未満のスタートアップでも申請できますか?

A グローバル枠については申請できます。新事業進出枠は創業1年未満が対象外ですが、グローバル枠にその制限はありません。ただし、まだ1期分の決算を終えていない場合は、法人であれば履歴事項全部証明書、個人事業主であれば開業届を添付することで申請が可能です。

Q3.導入した設備を既存事業と兼用してもよいですか?

A 原則としてできません。補助対象となる設備等は専ら補助事業(計画書に記載した新規事業)にのみ使用する義務が課せられており、既存事業と共用・兼用した場合は目的外使用と判断され、交付決定の取消や補助金の返還命令を受けることになります。判断が難しい場合は、必ず交付規程を確認のうえ事前に事務局に相談してください。

Q4.今回新設された「グローバル枠」を申請する最大のメリットは何ですか?

A 他の2枠のように小規模事業者であるかや特例適用の有無を問わず、申請者全員の基本補助率が最初から無条件で一律2/3と高く設定されている点が最大のメリットです。また、海外旅費や通訳・翻訳費といった、グローバル市場開拓に不可欠な渡航・プロモーション費用を独自の経費区分として計上できる点も、他枠にはない優位性となっています。

Q5.インバウンド(訪日外国人向け)事業は対象になりますか?

A グローバル枠は、自社製品やサービスを活用した自発的な海外販路開拓と、その海外市場開拓(輸出)に向けた国内拠点の強化を支援対象としています。そのため、国内に留まったまま訪日外国人を呼び込む国内向けのインバウンドサービスは、本枠の根幹となる定義に合致しない可能性が高くなります。具体的な事業計画がグローバル枠の対象に合致するかどうかは、最新の公募要領を確認したうえで、事前に事務局へ相談することをおすすめします。

まとめ

新事業進出・ものづくり補助金グローバル枠は、補助率2/3・最大9,000万円の大型支援で中小企業の海外展開を後押しする制度です。第1回公募の応募締切は2026年10月30日18時です。GビズIDや一般事業主行動計画の準備に時間がかかるため、早めに着手することが採択の前提条件となります。

補助金に関するお問い合わせ
初回相談の料金は無料です(60分/オンライン)

オンライン面談にて、事業者様の事業概要・検討中の投資内容を伺い、補助金申請の可否/進め方/必要な準備を整理します。

    このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシーと利用規約が適用されます。

    ページトップへ戻る