補助金の加点制度とは?認定・登録型の主な制度と優先順位を解説

補助金の加点制度とは?経営革新計画など5つを解説

補助金の加点項目のなかでも、経営革新計画や事業継続力強化計画のように、事前に認定や登録を済ませておくことで活用できる制度は、複数の補助金で加点対象として採用されています。それぞれの加点制度は、対象になる事業者や申請の手順、承認までにかかる期間が異なるのが特徴です。

本記事では、経営革新計画、経営力向上計画、事業継続力強化計画、パートナーシップ構築宣言、成長加速マッチングサービス、くるみん・えるぼし認定など6つの加点制度について、対象と取得の手順を解説します。どの加点制度から準備を始めるべきか迷っている方は、優先順位を判断する参考にしてください。

この記事からわかること

  1. 1 経営革新計画や事業継続力強化計画など6つの加点制度の対象と特徴
  2. 2 各加点制度の取得までにかかる期間と手続きの流れ
  3. 3 複数の加点制度に取り組む際の優先順位の考え方

補助金で使われる「認定・登録型加点」とは

補助金で使われる「認定・登録型加点」とは、補助金の申請前に国や自治体の認定・承認を受けたり、所定のサービスへ登録したり、宣言を公表したりすることで、審査上の評価を受ける仕組みです。

たとえば、経営革新計画や事業継続力強化計画は計画の承認・認定、パートナーシップ構築宣言は宣言の公表、成長加速マッチングサービスは会員登録と挑戦課題の登録・掲載、くるみん・えるぼし認定は、一定の要件を満たした企業の認定制度です。

ただし、すべての補助金で加点対象になるわけではありません。加点の対象となる制度や必要書類、締切までに完了すべき手続きは補助金ごとに異なります。

事前取得できる加点制度の特徴

補助金の公募が始まる前に、認定・承認の取得や登録、宣言の公表などを済ませておくことで活用できる加点項目です。補助金の公募期間は限られているため、公募開始後に準備しても間に合わない制度があります。

あらかじめ必要な手続きを進めておけば、申請時に加点を受けられる状態で準備を始められます。

また、多くの制度には、補助金の加点以外にもメリットがあります。たとえば、経営革新計画の承認を受けると、日本政策金融公庫の低利な融資制度を利用できる場合があるほか、信用保証の特例によって資金調達をしやすくなる場合があります。

制度によっては、税制や金融面の支援につながる場合もあります。加点だけを目的にするのではなく、自社の経営課題の解決にも役立つ制度を選ぶことが重要です。

加点制度ごとに取得難易度が異なる

加点制度の取得難易度は、登録手続きのみで対応できるか、計画書の作成や外部機関による審査があるか、取組実績まで求められるかによって異なります。

加点制度ごとに取得難易度が異なる

パートナーシップ構築宣言や成長加速マッチングサービスは、指定の手順に沿って宣言文や挑戦課題を登録することで取り組みやすい制度です。一方、事業継続力強化計画、経営力向上計画、経営革新計画は、自社の課題や取組内容を整理した計画の作成が必要です。

さらに、くるみん・えるぼし認定は、行動計画の策定に加え、子育て支援や女性活躍に関する取組実績も求められます。自社の体制や準備状況に合う制度から検討しましょう。

加点項目の配点は、公募要領で明示されないことが多くあります。ただし、取得の難易度に応じて配点も異なると想定されるため、取得が難しい項目も事前に準備しておくと、他の申請者との差別化につながります。

加点制度ごとに取得・認定に要する期間が異なる

加点制度は、申請や登録から加点要件を満たすまでの期間にも差があります。補助金の申請から逆算し余裕をもって着手することが、認定・承認の取得や不備の修正を期限内に終え、加点を確実に活用するためのポイントです。

たとえば、成長加速マッチングサービスやパートナーシップ構築宣言は比較的短期間で手続きを進めやすい一方、補助金で加点を受けるには、挑戦課題の登録・掲載や宣言の公表まで完了していなければなりません。

事業継続力強化計画や経営力向上計画は、計画作成と審査を見込んで準備する必要があります。

経営革新計画は、自治体への事前相談や審査会を経る場合があり、承認までの期間は申請先によって異なります。

くるみん・えるぼし認定は、一定期間の取組実績が前提となるため、中長期で準備する制度です。

経営革新計画とは|資金調達と補助金採択率を高める公的承認制度

経営革新計画とは

経営革新計画とは、中小企業等が新商品・新サービスの開発、新たな生産・販売方法の導入などを通じて、経営の向上を目指すための事業計画です。中小企業等経営強化法に基づき、一定の要件を満たす計画について、都道府県知事などの承認を受けます。対象となるのは、既存事業の継続ではなく、新事業活動に該当する取組です。

概要

計画では、原則3〜5年の事業期間を設定し、計画終了時点で付加価値額または1人当たり付加価値額を年平均3%以上、給与支給総額を年平均1.5%以上向上させる目標を掲げます。

承認を受けても補助金が直接支給されるわけではありませんが、補助金の加点、融資、信用保証などの支援策を活用できる場合があります。

申請・加点活用のポイント

経営革新計画は、原則として本店所在地を管轄する都道府県などに申請します。必要書類や事前相談の有無、審査の時期は自治体ごとに異なるため、申請前に窓口の案内を確認しておく必要があります。

特に、新事業活動としての新規性や、売上・人件費・投資額などに基づく数値計画の根拠が重要です。同業者間ですでに広く普及している取組では、承認を受けにくい場合があります。

補助金の加点に活用する場合は、補助金の申請締切日時点で、有効な経営革新計画の承認を受けていることが求められる場合があります。

申請から承認までにかかる期間は自治体により異なるため、公募開始後ではなく、利用したい補助金の締切から逆算して計画策定と事前相談を始めることが大切です。

経営革新計画は、新商品・新サービスの開発や新たな生産・販売方法の導入により、経営の向上を目指す事業計画を認定する制度です。取得すると、取り組みの革新性について一定の裏付けが得られると考えられます。取得には2〜3カ月程度かかり、支援事業者に依頼する場合は追加費用となるケースがほとんどです。

【参考:経営革新計画 進め方ガイドブック|中小企業庁】

経営力向上計画とは補助金加点と節税を同時に狙える国の認定制度

経営力向上計画とは、中小企業等が人材育成、設備投資、財務管理、業務改善などを通じて、生産性や収益力を高めるために策定する計画です。中小企業等経営強化法に基づき、事業分野ごとの主務大臣から認定を受けます。法人や個人事業主のほか、一定の要件を満たす医療法人、社会福祉法人、NPO法人なども対象です。

概要

計画期間は3〜5年で設定します。認定を受けると、中小企業経営強化税制による即時償却または税額控除、金融機関からの融資、信用保証の特例などを利用できる場合があります。

ただし、支援措置ごとに対象者・設備・申請期限などの要件が異なるため、利用したい支援策を確認したうえで計画を作成することが大切です。

申請・加点活用のポイント

経営力向上計画は、自社の業種に対応する事業分野別指針、または基本方針を確認したうえで作成し、事業分野ごとの主務大臣に申請します。申請先は業種によって異なり、必要書類や支援措置に応じた添付書類も確認が必要です。

経済産業部局のみを申請先とする電子申請では、標準処理期間が休日を除いて14日、紙の申請では30日とされています。複数の省庁にまたがる場合は、さらに時間がかかることもあります。

税制措置を利用する場合は、原則として対象設備を取得する前に、必要な証明書や確認書を準備し、計画の認定を受ける必要があります。

【参考:経営力向上計画策定の手引き|中小企業庁】

事業継続力強化計画(BCP)とは自社の防災力向上と補助金加点を両立する公的認定

事業継続力強化計画とは、自然災害や感染症、停電などのリスクに備え、中小企業が行う防災・減災の事前対策をまとめた計画です。

事業継続力強化計画(BCP)とは自社の防災力向上と補助金加点を両立する公的認定

一般的なBCPよりも取り組みやすい、中小企業向けの事業継続計画として位置付けられています。計画には、想定される災害リスク、従業員の安全確保、緊急時の連絡体制、重要業務の継続・復旧方法などを記載し、経済産業大臣の認定を受けます。

認定を受けること自体が補助金の採択や融資の実行を保証するものではありません。加点目的だけで作成するのではなく、自社が被災した際に事業を継続・早期復旧するための実効性ある計画として整備することが重要です。

申請・加点活用のポイント

事業継続力強化計画は、事業継続力強化計画電子申請システムから申請します。電子申請には、原則としてGビズIDプライム必要です。作成時には、ハザードマップなどを用いて自社拠点の災害リスクを確認し、発災時の初動対応、従業員との連絡方法、資金繰りや設備・データの保護策を整理します。

補助金の加点に活用する場合は、申請しただけでは足りず、補助金の申請締切日時点で認定を受けていることや、計画の実施期間が有効であることを求められる場合があります。申請から認定までには標準で約45日かかるため、不備の修正期間も考慮し、早めの準備をおすすめします。

【参考:事業継続力強化計画|中小企業庁】

パートナーシップ構築宣言とは審査不要・自社宣言のみの制度

パートナーシップ構築宣言とは、企業が発注者の立場から、取引先やサプライチェーン全体の事業者との共存共栄、適正な取引慣行の実現に取り組むことを、代表者名で宣言して公表する仕組みです。主な内容は、サプライチェーン全体での連携や付加価値向上・受託中小企業振興法に基づく振興基準の遵守・独自の取組の3つです。

概要

法人・個人事業主を問わず、企業規模にかかわらず無料で登録できます。取引条件の適正化や価格転嫁への対応、取引先との連携強化を進めるきっかけになるほか、一部補助金では審査上の加点対象となる場合があります。補助金加点だけを目的にするのではなく、実際の取引方針や取組内容に沿った宣言にすることが大切です。

申請・加点活用のポイント

登録する際は、パートナーシップ構築宣言ポータルサイトから最新のひな形と記載要領を確認し、自社の取組に合わせて宣言文を作成します。企業名、代表者の役職・氏名、宣言日などを入力してPDF化し、登録フォームから必要事項とともにアップロードします。登録後は、ポータルサイト上で宣言が公表されていることを確認しましょう。

補助金の加点に活用する場合は、公募要領で指定されたひな形の版と、公表期限を確認することが重要です。たとえば、一部の補助金では令和8年1月1日に改定されたひな形を使用し、申請締切時点で宣言を公表していることが求められます。過去に登録済みでも、旧ひな形のままでは加点対象外となる可能性があるため、宣言内容と使用したひな形の見直しが必要です。

【参考:パートナーシップ構築宣言|中小企業庁】

成長加速マッチングサービス

成長加速マッチングサービスとは、中小企業庁が運営する、成長を目指す中小企業・小規模事業者と支援機関をつなぐマッチングサービスです。事業者は、資金調達や事業承継、経営相談などに関する「挑戦課題」を登録することで、金融機関や投資機関、認定経営革新等支援機関などの支援者とつながる機会を得られます。

概要

利用料は無料で、事業拡大や新規事業、DX、販路開拓などに向けた課題を整理するきっかけになります。登録した情報は、公開先となる支援者の範囲を選択できるため、必要以上に広く情報が公開される仕組みではありません。

ただし、登録しても支援者からの連絡や支援内容が保証されるわけではないため、自社の成長方針や支援を受けたい内容を具体的に整理して登録することが大切です。

申請・加点活用のポイント

サービスを利用するには、GビズIDプライムまたはGビズIDメンバーでログインし、企業プロフィールと挑戦課題を登録します。補助金の加点に活用する場合は、会員登録だけでは足りません。応募締切日時点で、ステータスが「掲載中」の挑戦課題を1件以上登録していることが必要です。

挑戦課題は、現状の課題を書くのではなく、自社の強みを生かして今後どのように成長したいのか、どのような支援を求めるのかを具体的に記載することが求められます。課題の登録内容は補助金の事業計画とも整合させ、登録後はマイページで課題のステータスが「掲載中」と表示されているかを確認しておくことが必要です。

【参考:成長加速マッチングサービス|中小企業庁】

くるみん・えるぼし認定

くるみん・えるぼし認定は、子育て支援や女性活躍に関する取組が優良な企業を、厚生労働大臣が認定する制度です。

概要

くるみん認定は次世代育成支援対策推進法に基づく子育てサポート企業の認定であり、一般事業主行動計画を策定・実施し、育児休業の取得状況や労働時間などの要件を満たした企業が対象です。

えるぼし認定は女性活躍推進法に基づく制度で、採用、継続就業、労働時間等の働き方、管理職比率、多様なキャリアコースの5項目を評価し、満たした基準数に応じて1〜3段階で認定されます。

認定を取得することで、補助金の加点に加え、採用活動でのPRや人材定着、企業イメージの向上にもつながります。。

申請・加点活用のポイント   

くるみん・えるぼし認定を補助金の加点に活用する場合は、申請予定の補助金で認定が対象となるかを確認する必要があります。補助金によっては、くるみん・えるぼし認定を別々の加点項目として扱う場合がある一方、いずれかの認定取得を条件とする場合もあります。加点を受けるには、認定書の写しなどの書類を申請時に準備する必要があります。。      

両制度は、登録や宣言の公表のみで短期間に取得できる制度ではありません。行動計画の策定・届出、社内制度の整備、育児休業取得率や女性の採用・登用状況などの実績が必要になります。そのため、直近の補助金申請に間に合わせる目的ではなく、人材定着や働きやすい職場づくりを進めながら、中長期で認定取得を目指す取組として検討することが重要です。 

【参考:くるみん・えるぼし認定|厚生労働省】

優先すべき加点制度を選ぶ4つのポイント

補助金の加点制度は、取得しやすいものから選べばよいとは限りません。申請予定の補助金で加点対象となるか、申請締切までに要件を満たせるか、自社の経営課題に合っているかを確認したうえで選ぶことが大切です。また、加点の数を増やすことよりも、補助金で申請する事業計画との整合性を保つ必要があります。

申請予定の補助金で加点対象になるか

加点制度を選ぶ際は、まず申請予定の補助金で加点対象になっているかを確認します。同じ認定・登録制度でも、補助金や申請枠によって加点対象となるかどうかが異なります。。たとえば、パートナーシップ構築宣言は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金などで加点対象となる一方、すべての補助金に共通する項目ではありません。

また、認定・登録を取得しているだけでは不十分なケースもあります。公募要領で指定された認定年度、有効期間、提出書類、宣言のひな形などを満たすことが必要です。過去の公募要領や解説記事だけで判断せず、申請する公募回の最新要領で、加点条件を確認することがも求められます。

補助金の締切までに加点要件を満たせるか

加点制度は、補助金の申請締切までに要件を満たせるかで優先順位が変わります。多くの補助金では、締切日時点で認定・承認を受けていることや、宣言が公表されていることが必要です。申請書を提出しただけでは加点されない場合があるため、取得までにかかる期間だけでなく、認定書の発行、公表、掲載状態の確認まで含めて予定を立てます。

パートナーシップ構築宣言や成長加速マッチングサービスは比較的短期間で対応しやすい一方、事業継続力強化計画、経営革新計画、経営力向上計画、くるみん・えるぼし認定などは、計画作成、審査、実績の蓄積に時間を要します。電子申請にGビズIDが必要な制度もあるため、ID未取得の場合はその期間も考慮しておきましょう。

自社の経営課題や取組状況に合っているか

自社の経営課題や取組状況に合っているか

加点制度は、取得しやすさだけで選ぶのではなく、自社の経営課題やすでに進めている取組に合うものを優先します。たとえば、災害への備えや事業継続体制の整備が課題なら事業継続力強化計画、設備投資や生産性向上を進めるなら経営力向上計画、新事業の立ち上げ・新サービス・新製品の開発を目指すなら経営革新計画が候補です。

人材定着や女性活躍、子育て支援に取り組んでいる企業は、くるみん・えるぼし認定を検討できます。取引先との連携や適正取引を強化したい場合はパートナーシップ構築宣言、経営課題の整理や外部支援者との接点づくりを進めたい場合は成長加速マッチングサービスが適しています。加点以外の税制・金融・採用面の効果も含めて判断することが大切です。

加点の数より事業計画との整合性を重視できるか

加点の数より事業計画との整合性を重視できるか

補助金では、加点項目の数だけで採否が決まるわけではありません。審査では、投資の必要性、事業内容の具体性、市場性、実現可能性、補助事業による効果など、事業計画書そのものが評価されます。加点の取得に時間をかけすぎて、本来提出すべき事業計画書や見積書、根拠資料の準備が不十分では、スムーズな申請ができません。

また、認定・登録制度で示した取組と、補助金で申請する事業内容に矛盾がないかの確認も必要です。たとえば、経営革新計画で掲げた新事業と補助金の投資内容、防災対策をまとめた事業継続力強化計画と導入設備の目的がつながっていると、計画全体の説得力を高めやすくなります。取得済みの認定の有効期限や提出書類も管理し、無理なく満たせる加点を選ぶことが重要です。

まとめ

補助金の加点制度は、認定・承認の取得、登録、宣言の公表などを事前に済ませることで、補助金の審査で評価を受けられる仕組みです。経営革新計画、経営力向上計画、事業継続力強化計画、パートナーシップ構築宣言、成長加速マッチングサービス、くるみん・えるぼし認定などが代表例です。

ただし、対象となる制度や必要書類、締切までに完了すべき手続きは補助金ごとに異なります。申請予定の補助金の最新公募要領を確認し、自社の課題や投資計画に合う制度を選びましょう。加点だけを目的にせず、事業計画との整合性を保ち、認定・承認・公表に必要な期間から逆算して早めに準備することが、加点制度を有効に活用するポイントです。

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