中堅・中小・スタートアップ企業の大規模成長投資補助金とは?

中堅・中小・スタートアップ企業の大規模成長投資補助金とは?

中堅・中小・スタートアップ企業の大規模成長投資補助金は、補助上限額50億円・補助率3分の1以内で、工場や設備への大規模投資を支援する経済産業省の制度です。 申請には投資額20億円以上(100億宣言企業は15億円以上)と、年平均5.0%以上(同4.5%以上)の賃上げ計画が必要です。 大型の補助金である一方、賃上げ目標を達成できない場合は補助金の返還を求められる厳格な制度でもあります。

本記事では、6次公募の公募要領をもとに、対象者・要件・対象経費・スケジュール・採択結果・申請の流れ・採択のポイントを順に解説します。

この記事からわかること

  1. 1 補助上限額・補助率と、投資額・賃上げの申請要件
  2. 2 6次公募のスケジュールと5次公募の採択率
  3. 3 申請の流れと、採択に向けた審査・加点のポイント

目次

中堅・中小・スタートアップ企業の大規模成長投資補助金とは

本補助金は支援規模が大きく、国が重点的に推進する制度であるため、事業の成長性や実現可能性を裏付ける、精緻で説得力のある事業計画が求められます。そのため、申請要件だけでなく、制度の背景や政策目的を理解することが重要です。

大規模成長投資補助金の目的

大規模成長投資補助金の目的

正式名称は「中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」で、経済産業省が実施する補助事業です。予算額は2,000億円に上ります。

制度の目的は、地域の雇用を支える中堅・中小企業やスタートアップ企業が、人手不足などの喫緊の課題に対応し、飛躍的な成長を目指して行う大規模投資を後押しすることです。その成果として、地方における持続的な賃上げを実現することが掲げられています。

この補助金は、単に大型設備を導入するための制度ではありません。省力化による生産性向上や事業の成長から従業員への賃金還元までを一体で実現する計画が求められています。

補助上限額50億円・補助率3分の1以内の支援内容

6次公募の主な支援内容は次のとおりです。

項目 内容
予算額 2,000億円
補助上限額 50億円
補助率 3分の1以内
補助事業期間 交付決定日から最長2028年12月末まで
申請方法 jGrantsによる電子申請

補助事業は、原則として交付決定日から最長で令和10年12月末までに完了させることが求められます。工場などを新たに建てる場合は、工事が2028年12月末までに終わる日程を組めるかを、申請前に見極めておくことが大切です。

なお、採択されたからと言って申請額の全額の交付(支給)が保証されたわけではありません。採択後の交付申請で経費が精査され、経費要件に合致していない経費は対象外となり、交付決定額が減額される場合もあります。

補助率4分の1の許容で追加採択の対象になる

申請時に「補助率4分の1での採択も許容する」と選択すると、本来の補助率3分の1の採択水準にわずかに届かなかった場合でも、追加的な採択の対象となる可能性が補助金事務局より公式に発表されています。。補助率4分の1であっても、採択の可能性を高めたい事業者にとって検討の余地がある選択肢です。

ただし、補助率が4分の1の場合でも、申請時に掲げた賃上げ目標の達成要件は同様に課されます。補助金額が減る一方で義務は変わらないため、自己負担の増加を踏まえた資金計画と投資採算を確認したうえで選択することが大切です。投資額が大きいほど、補助率の違いによる自己負担額の差も大きくなります。

大規模成長投資補助金の対象者と申請できない法人

対象者の判定は、従業員数と資本関係の2つの観点で判断されます。グループ企業の場合など、会社の形態によって判定が変わるので、申請前にルールを把握しておきましょう。

常時使用する従業員2,000人以下の企業

補助対象者は、日本国内に本社と補助事業の実施場所を有し、常時使用する従業員数が2,000人以下の会社または個人等です。資本金の額や上場・非上場の別による制限はありません。

従業員数は企業単体で判定されるため、海外法人などを含む連結ベースで2,000人を超えていても、申請企業単体で2,000人以下なら要件を満たします。常時使用する従業員とは、労働基準法第20条に基づき解雇予告を必要とする者を指し、派遣社員は含みません。

組合や一般社団法人なども、収益事業を行い制度目的に沿う場合は対象となり得ます。一方、医療法人(社会医療法人を除く)は制度上収益業務を行えないため、補助対象外です。

みなし大企業・みなし同一法人は申請できない

みなし大企業・みなし同一法人は申請できない

従業員2,000人超の大企業が発行済株式の2分の1以上を所有している法人や、複数の大企業が株式の3分の2以上を所有している法人は「みなし大企業」として補助対象外です。大企業の役職員が役員総数の2分の1以上を兼ねる法人も同様です。一方、中小企業投資育成株式会社や投資事業有限責任組合による株式保有などは、対象から除外されます。

また、同一公募で1事業者が申請できるのは1件のみです。議決権の50%超を持つ親会社・子会社・孫会社や、代表者と住所が同じ法人などは「みなし同一法人」とされ、グループ内でいずれか1社しか申請できません。複数社が申請した場合は、すべての申請が対象外になります。

スタートアップ企業の特例と共同申請の仕組み

設立20年以内で、ベンチャーキャピタル(VC)や事業会社の投資部門(CVC)など、スタートアップへの投資を行う法人が株主に加わっている企業はスタートアップ企業とされ、条件付きの特例があります。

スタートアップ企業のうち、産業競争力強化法上の中小企業者であり、公募開始日から3年以内に100億宣言を行う見込みがある場合は、賃上げ基準率が4.5%に緩和されます。スタートアップ企業であり、補助事業に関わる従業員に対してストックオプションを発行済みまたは発行予定の場合は、その含み益相当額を給与支給総額に加算できます。

中堅・中小企業を中心に最大10者で組むコンソーシアム形式の共同申請も可能です。一般企業向けでは1以上が10億円以上を投資し、合算で20億円以上とすることが求められます。大企業も参加できますが、補助金は受給できません。機械装置等はリース会社との共同申請でも対象にできます。

大規模成長投資補助金の要件は投資額と賃上げ

申請要件の中心は、一定額以上の投資と、事業完了後の賃上げです。申請類型によって基準が異なるほか、事業期間中の賃上げも審査で重視されます。

大規模成長投資補助金の要件を申請類型別に比較

申請類型は2つあり、選ぶ類型によって投資額と賃上げ率の基準が変わります。

項目 一般企業向け 100億宣言企業向け
投資額 20億円以上 15億円以上
賃上げ率 年平均5.0%以上 年平均4.5%以上

投資額は、外注費・専門家経費を除く補助対象経費(税抜)で判定します。賃上げ率は、補助事業完了後3年間の、補助事業に関わる従業員1人当たり給与支給総額の年平均上昇率です。100億宣言企業向けは、売上高100億円を目指す宣言がポータルサイトで公表されている企業が対象です。ただし、直近決算期と直近3期平均の売上高がいずれも100億円を超える企業は、一般企業向けで申請します。

足下の賃上げは物価上昇率を上回る水準が必要

足下の賃上げは物価上昇率を上回る水準が必要

事業完了後の賃上げ要件とは別に、工場の建設中や設備の導入中といった補助事業期間中から全社で行う「足下の賃上げ」も審査で重視されます。

足下の賃上げは、最低でも物価上昇率を上回ることが求められます。物価上昇率は消費者物価指数(CPI)の総合指数が参考値とされ、公募資料では2025年の前年比3.2%上昇が例示されています。この水準を上回る賃上げが計画されていない場合、審査上大幅に不利になります。

さらに、採択後は交付決定までに従業員へ足下の賃上げ目標を表明する必要があり、補助事業期間中の実績は事務局のモニタリングの対象となります。

賃上げ目標が未達成なら補助金返還の可能性

補助事業完了後3年間の目標賃上げ率を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還が求められます。特に、年平均上昇率が基準率(5.0%または4.5%)を下回った場合は、全額返還の対象です。

また、交付決定から原則1か月以内に、採択された旨や目標賃上げ率、投資規模をプレスリリース等で対外公表する義務もあります。

審査では意欲的な目標が評価されますが、根拠のない高い目標は返還リスクを高めるだけとなってしまいます。売上高や付加価値額の成長見込み、人員計画、給与の原資を踏まえ、確実に実行できる目標を設定することが重要です。

大規模成長投資補助金の対象経費

対象経費は、拠点整備と省力化・デジタル化に関わる投資を中心に構成されています。対象外となる事業や、税制優遇との併用制限もあわせて解説します。

建物費・機械装置費・ソフトウェア費が中心

建物費・機械装置費・ソフトウェア費が中心

補助対象経費は、専ら補助事業に使用される次の5区分です。

  • 工場・倉庫・販売拠点などの新設、増築、改修にかかる建物費
  • 省力化・自動化を実現する最先端の機械装置費
  • ソフトウェアの購入費や情報システムの構築費
  • 補助事業に必要な加工・設計・検査などの外注費
  • 補助事業に必要な専門家への謝金・旅費などの専門家経費

外注費と専門家経費も補助対象ですが、投資額要件の判定では、これらを除いた税抜の金額を用います。総事業費が20億円を超えていても、判定対象となる経費が基準に届かなければ投資額要件を満たしません。

なお、FIT(固定価格買取制度)・FIP(フィードインプレミアム制度)等の公的制度を利用した売電用の太陽光発電設備は、補助対象外です。

対象外の事業と税制優遇との併用制限

事業の大半を他社に外注・委託して企画だけを行う事業、実質的に労働を伴わない資産運用的な事業、単なる貸与を目的とした事業は対象外です。農業・林業・漁業などの1次産業そのものを目的とする事業も対象外ですが、高度な環境制御技術を用いる植物工場や陸上養殖などは対象となり得ます。経済産業省から指名停止措置を受けている事業者や、過去の公募で不正により交付決定取消となった事業者も申請できません。

また、同一の設備について、賃上げ促進税制、地域未来投資促進税制、中小企業経営強化税制などの税制優遇と本補助金を重複して適用することはできません。税制を検討している場合は、事前にどちらが有利かを比べておくとよいでしょう。

大規模成長投資補助金6次のスケジュール

6次公募はすでに申請受付を終了し、審査が進んでいます。次回の公募を検討している企業は、6次公募の流れが準備期間を逆算する目安になります。

2026年6次公募のスケジュールと審査状況

6次公募のスケジュールは次のとおりです(2026年9月30日時点)。

手続き 日程
公募期間 7月31日~8月31日17時
書面審査結果通知 9月下旬ごろ
プレゼン審査 10月19日~23日
採択発表 11月上旬頃
交付決定 2027年1月中旬以降

締切までに163件の有効申請があり、5次公募では198件の申請がありました。書面審査の結果は、9月下旬ごろに申請時に登録したメールアドレス宛に届きます。採択発表は11月上旬頃の予定で、その後、11月中旬以降に交付申請、12月中旬以降に交付審査が行われ、交付決定を受けてはじめて契約や発注に進めます。

7次公募・次回公募の時期は未公表

2026年9月30日時点で、7次公募を含む次回公募の時期や要件は公表されていません。次回公募の予測情報をもとに契約や発注を進めず、経済産業省と事務局の公式発表を待ってから動き出すのが確実です。

一方で、本補助金の申請には、投資計画や資金調達計画の策定、見積もりの取得、金融機関との調整など、多くの事前準備を伴います。GビズIDプライムの取得にも時間がかかる場合があります。次回の申請を検討している企業は、6次公募の公募要領を参考に準備を進め、新たな公募要領が公表された段階で変更点を確認する方法が現実的です。

大規模成長投資補助金の採択結果と採択率

過去の採択結果からは、採択に必要な計画の水準が見えてきます。数字の推移と採択者の特徴を順に見ていきます。

5次公募の採択結果と4次公募までの推移

5次公募では198者が申請し、77者が採択されました。採択倍率は約2.6倍で、申請者数と採択者数から算出した採択率は約38.9%です。6次公募は審査中のため、採択率はまだ確定していません。

各公募の申請者数は次のように推移しています。

  • 1次公募:736社
  • 2次公募:605社
  • 3次公募:229社
  • 4次公募:210社
  • 5次公募:198社

申請数は減少していますが、5次以降は最低投資額と賃上げ要件が引き上げられ、応募できる企業が絞られています。申請数が少ないから採択されやすいとは限りません。

5次採択者の中央値から見る採択水準

5次公募では、申請者全体と採択者の計画数値(中央値)が公表されています。

指標 申請者全体 採択者
年平均売上高成長率 20% 21%
全社売上高増加額 67.1億円 82.4億円
補助事業付加価値増加額 19.9億円 28.1億円
年平均賃上げ率 6.5% 7.0%
補助金額に対する付加価値増加額 171% 213%

採択者の中央値では、賃上げ率が必須基準を上回る年平均7.0%、付加価値増加額が補助金額の2倍を超えています。中央値のため全採択者の水準ではありませんが、一つの目安になります。売上高成長率の差は1ポイントにとどまる一方、付加価値増加額には8億円以上の差があり、成長性と費用対効果が問われていることがわかります。

大規模成長投資補助金の申請方法と流れ

申請はjGrantsによる電子申請のみで、紙での郵送や持参は受け付けていません。事前準備から補助金の受け取りまでの流れを解説します。

公募要領に沿った必要書類とJグランツ申請

jGrantsの利用には、GビズIDプライムアカウントが必須です。オンラインでは最短即日で取得できますが、郵送申請では最大1か月程度かかる場合があり、取得の遅れによる期限延長は認められません。

全申請者が提出する主な書類は、成長投資計画書(様式1)、成長投資計画書別紙(様式2)、ローカルベンチマーク(様式3)、直近3期分の決算書などです。様式は申請する公募回の最新版を事務局のホームページから入手します。

提出ファイルは原則として容量30MB以内のzipファイルにまとめます。様式間で数値が異なると審査不可や遅延の原因になるため、提出前に書類同士の数値を突き合わせておきます。

申請から補助金受給までの流れ

申請から補助金を受け取るまでの一般的な流れは次のとおりです。

ステップ 工程 内容
1 事前準備 GビズID取得・書類作成
2 電子申請 jGrantsで申請
3 審査 書面審査・プレゼン審査
4 採択・交付決定 交付申請を経て決定
5 事業実施 決定後に契約・発注
6 報告・受給 実績報告後に交付

採択と交付決定は別の手続きであり、採択されただけでは契約や発注を始められません。補助金は事業完了後の実績報告を経て交付されるため、それまでは自己資金や借入で資金をまかなうことになります。受給後も賃上げなどの実績報告が続くほか、取得した財産には処分制限があり、承認なく売却や転用をすると国庫納付が必要になる場合があります。

大規模成長投資補助金の採択に向けたポイント

審査は書面による1次審査と、有識者によるプレゼンテーション形式の2次審査の2段階で行われます。評価の観点と加点措置を理解して計画に反映させましょう。

6つの審査項目に沿って計画を組み立てる

審査では、成長投資計画書をもとに次の6つの観点から総合的に評価されます。

  • 経営力:長期ビジョン、足下の賃上げ、資金計画
  • 先進性・成長性:市場ニーズ、差別化、生産性向上
  • 地域への波及効果:雇用創出、地域取引先への効果
  • 大規模投資・費用対効果:投資規模、付加価値増加額
  • 実現可能性:実施体制、資金調達の確実性
  • 補助金の必要性:自己資金や融資だけでは困難な理由

各項目について、数値と根拠を示しながら説明することが評価を高めるポイントです。このうち補助金の必要性では、現預金保有残高などの財務状況に照らし、自己資金や融資だけでは実現が難しい理由を示すことが求められます。

大幅加点は中堅企業への移行と出融資表明

加点措置のうち、特に大きいのが次の2つの「大幅加点」です。

1つ目は、令和10年12月末までに中小企業の定義を超える従業員数と資本金を達成すると宣言する「中小企業から中堅企業への移行」です。宣誓書(様式7)の提出と計画書への記載が必要です。

2つ目は、金融機関やファンド等から出資・融資の表明(様式4-2)を得て提出することです。資金提供の約束を伴わない確認書(様式4-1)でも加点対象になりますが、両者はどちらか一方の選択となります。

このほか、AX(AIトランスフォーメーション)への取組、特定戦略分野での事業、本社機能の地方移転、えるぼし・くるみん認定なども加点対象です。

プレゼン審査は経営者本人の説明が必須

2次審査では、代表権を持つ経営者自身の出席と説明が必須です。自社の役員や、確認書・表明書を提出した金融機関の担当者は同席できますが、外部のコンサルタントなど第三者の同席は一切認められません。発覚した場合は不採択や交付決定取消の対象となります。共同申請の場合は、幹事企業の経営者が代表して説明します。

また、事業者本人の理解が著しく不足していると判断されると、審査上大幅に不利になります。計画づくりで外部の支援を受ける場合も、市場性や投資効果、資金調達、賃上げの根拠を経営者が自らの言葉で説明できるよう準備しておくことが欠かせません。

大規模成長投資補助金に関するよくある質問

申請を検討する事業者から寄せられることの多い質問に回答します。

Q.大規模成長投資補助金の次回公募はいつですか?

A. 2026年9月30日時点で、7次公募を含む次回公募の時期は公表されていません。

6次公募の申請期間は約1か月だったため、公募が始まってから準備を始めると間に合わないおそれがあります。特に時間がかかる準備は3つです。1つ目はGビズIDプライムで、郵送申請では取得に最大1か月程度かかる場合があります。

2つ目は100億宣言で、100億宣言企業向けに申請するには申請時までにポータルサイトで宣言が公表されている必要があり、公表までには時間を要します。

3つ目は申請様式で、過去の公募回の様式で提出すると審査不可となる可能性があるため、公募開始後に最新版を入手します。

Q.大規模成長投資補助金の採択率は?

A. 5次公募の採択率は約38.9%(198者中77者)、採択倍率は約2.6倍でした。

申請者のおよそ5者に2者が採択された計算です。6次公募の採択率は、11月上旬頃の採択発表後に確定します。採択までの審査は2段階です。1次審査は書面による定量面・形式面の審査で、通過した事業者が、地域ブロック単位で行われる有識者のプレゼンテーション審査に進みます。なお、令和8年熊本地震などの大規模災害で被害を受けた事業者や、繰り返し被災している地域の事業者には、1次審査の定量評価で事業基盤や財務状態への影響に配慮した評価が行われます。

Q.大規模成長投資補助金の6次はいつからですか?

A. 6次公募は2026年7月31日に受付を開始し、8月31日17時に締め切られました。

現在は審査中で、書面審査を通過した事業者は10月19日から23日のプレゼンテーション審査に進みます。プレゼンテーション審査で説明するのは、代表権を持つ経営者です。申請書に記載した代表者と異なっていても、代表取締役専務など代表権がある方なら問題ありません。日本語での説明が難しい場合は、通訳や同席役員による補足も認められています。一方、海外出張などを理由とした代替日程は想定されていないため、通過の通知を受けたらすぐに経営者の日程を押さえておきたいところです。

Q.中小企業成長加速化補助金と同時に申請できますか?

A. 中小企業成長加速化補助金との同時申請は可能です。

ただし、併願している旨を申請書に記載し、いずれかで採択された場合は速やかに事務局へ連絡する必要があります。同一の経費や、同一または類似の事業について国の補助金を重複して受給することはできません。併願する場合は、それぞれの申請で対象とする経費や事業の範囲を整理しておくことが大切です。投資規模や賃上げ要件、補助率などの条件は制度ごとに異なるため、自社の投資計画に合う制度を比較したうえで申請先を決めましょう。どちらが自社に合うか判断に迷う場合は、補助金の専門家に相談するのも1つの方法です。

Q.採択前に着手した事業も補助対象になりますか?

A. 採択される前に着手している事業であっても補助対象になり得ますが、交付決定より前に契約(発注含む)を行った経費については補助対象外となります。

工事の着手や契約・発注ができるのは、採択後に交付申請を行い、交付決定を受けた日以降です。6次公募の場合、交付決定は2027年1月中旬以降の予定です。採択発表の時点ではまだ交付決定を受けていないため、その段階で発注してしまうと補助対象外となります。大規模な建設工事や設備導入では、納期や工期の都合で早く発注したくなる場面もありますが、補助事業期間は交付決定日から最長2028年12月末までと定められています。交付決定後の発注を前提に、工期や納期を含むスケジュールを計画しておきましょう。

まとめ

大規模成長投資補助金は、補助上限額50億円・補助率3分の1以内という大規模な支援制度です。その分、一般企業向けで20億円以上、100億宣言企業向けで15億円以上の投資と、事業完了後3年間の賃上げが求められ、未達成の場合は補助金の返還規定もあります。

6次公募は2026年8月31日に締め切られ、163件の有効申請が審査されています。5次公募の採択率は約38.9%で、採択者の中央値は必須基準を上回る賃上げと高い付加価値の増加を示していました。次回公募を目指す企業は、公募要領の公表を待たずに投資計画と資金計画の整理を始め、経営者自身が計画を説明できる体制を整えておきましょう。

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